志位和夫委員長は25日、安倍晋三首相が同日の会見で28日召集の臨時国会の冒頭で衆院を解散すると表明したことについて、次のようにコメントしました。
(写真)記者会見する志位和夫委員長=25日、国会内
解散表明の記者会見を聞きましたが、総理は、解散の理由についてあれこれと並べ立てていましたが、「なぜ冒頭解散なのか」、この点については一切説明をすることができませんでした。
私たちが問題にしているのは冒頭解散です。すなわち6月22日に野党4党として、一連の国政私物化疑惑の徹底究明のために臨時国会の召集を要求しました。それを3カ月間もほったらかしにしたあげく、国会を召集したと思ったら、冒頭で解散をするという。これはまさに「森友・加計疑惑隠し」以外の何ものでもありません。そして憲法に反する行為だということを私たちは問題にしているわけです。まさにそういう一番の問題の核心、「なぜ冒頭解散なのか」ということについてまったく説明できませんでした。
総理は「国難突破解散」といいましたけれども、私は厚かましいにもほどがあると思って聞きました。いま総理の前にあるのは、「自ら招いた自らの窮地」です。なんとかそれから逃れるために冒頭解散という憲法に反する行動をとろうとしている。これが本質にほかなりません。
私たちは国会を召集するというのであれば、代表質問、予算委員会を、しっかり時間をとって行う。そして一連の国政私物化疑惑の究明をしっかりやる。当面の国政上の問題についても議論をやった上で、国民に審判を仰ぐ、これが筋だということを強く求めていきたいと考えています。
国民の要求を“人質”にとった“10%増税宣言”
2点目に、総理は発言の中で、消費税を10%に上げるさいに、その使い道を変える、だから信を問うんだということを言われました。教育や子育てにその一部を充てていくということを言われました。
しかしこれは、要は、教育や子育てという国民多数の切実な願いをいわば“人質”にとる形で、2度も延期を余儀なくされた消費税10%を今度こそ国民に押し付けようという“10%増税宣言”にほかなりません。
私たちはこうした消費税増税そのものに強く反対します。
だいたい、8%への大増税によって何が起こったか。長期にわたる消費不況です。増税から3年以上たつというのに個人消費はずっとマイナスに沈みっぱなしの状況になっています。政府は「半年くらいで影響はなくなる」といったけれど、3年たってなお消費不況が続いている。
こういう状況のもとで、さらに10%の増税というのはとんでもないことです。家計も経済も壊すことになることは明瞭であって、私たちは増税そのものに反対の大論陣をはっていきたい。
そして負担を求めるというのだったら、「アベノミクス」で大もうけをしている富裕層や大企業にもうけ相応の負担を求める税制改革が必要だと訴えていきたいと考えています。
「対話拒否」をつづけてきたことが、北朝鮮の核・ミサイル開発を野放しにした
3点目に、総理は北朝鮮への対応は圧力でやっていくんだと、異常な「対話否定論」を主張し、「圧力、圧力」ということだけを繰り返しました。
もちろん、経済制裁の強化は必要です。しかしそれだけで問題は決して解決しない。それと一体に「対話による平和的解決」の努力をやってこそ、解決の道が開かれます。
総理は、「対話をさんざんやったけれど、北朝鮮に裏切られた、これ以上の対話は意味がない」と言われました。確かに1994年の(「枠組み」)合意、2005年の(6カ国協議の)合意、2度にわたる合意を北朝鮮が裏切って核開発を行ったことは事実です。
しかし、問題はその後です。その後、オバマ政権が「戦略的忍耐」といって北朝鮮が非核化の意思と行動を示さない限り、対話に応じないという「対話拒否論」をずっとやってきた結果、この期間に、野放し状態のもとで、核・ミサイル開発がどんどん進んだのです。対話をやってこなかった結果が、ここまで事態を深刻にしたのです。ですから、経済制裁強化と一体に対話の努力をやることが必要になっているのです。
「対話による平和的解決」ということは、国連安保理決議にも明確にうたわれています。世界の多くの首脳、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、韓国の文在寅大統領なども「対話による平和的解決」を主張しています。
そのときに日本の安倍政権がトランプ米大統領に追随して、異常な「対話否定論」を説く。そして「すべての選択肢がテーブルの上にあるという米国政府の立場を支持する」と言って、米国の軍事力行使を容認する。非常に危険です。
私は、日本政府こそ「対話による平和的解決」のイニシアチブをとるべきだということも強く言いたいと思います。
この問題も選挙になりましたら私たちとしては大いに議論していきたい。どうすれば北朝鮮の核・ミサイル開発を抑え、彼らに核兵器を放棄させることができるのか。これも私たちの対案をしっかり示して議論していきたい。