2021年1月22日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫
一、核兵器禁止条約が本日、発効を迎えた。この条約の発効は、広島・長崎の被爆者をはじめ、「核兵器のない世界」を求める世界の圧倒的多数の政府と市民社会の共同した取り組みによる画期的成果である。日本共産党は、核兵器廃絶を戦後一貫して訴え、その実現のために行動してきた党として、心から歓迎する。
一、人類の歴史で初めて、「核兵器は違法」とする国際法が誕生したことは、巨大な意義をもつものである。この条約の発効は、核兵器保有国や、核兵器に依存する国を、「国際法違反の国」として、政治的・道義的に追い詰めていく大きな力を発揮していくことになるだろう。核兵器禁止条約がもつ法的な規範力と、世界の諸政府・市民社会の力があわさって、「核兵器のない世界」への道をきりひらく、新しい時代が始まった。
一、米国を先頭とする核保有5大国(P5・米ロ英仏中)が共同して条約に敵対・妨害するもとで、途上国を含む多くの国ぐにがその圧力をはねのけ、条約の批准に至り、支持を広げていることは、大きな意義をもつ。これは、今日の世界が、ごく一部の大国が支配する世界ではなく、国の大小を問わずすべての国が国際政治の主人公となる、世界の構造変化を象徴的に示すものとなっている。
一、昨年12月の国連総会では、条約参加を訴える決議に130ヵ国が賛同し、国連加盟国の3分の2を超えた。今年中には条約の締約国会議が開催され、市民社会も参加して条約の推進プロセスが始動する。日本共産党は、核兵器廃絶に至る道筋を示すこの条約を力に、思想・信条の違いを超え、条約に賛成するすべての国、団体、人々と引き続き協力を強め、「核兵器のない世界」を実現するために、あらゆる力をつくす。
一、日本の菅政権が、世界の流れに背を向けて、「核抑止力の維持・強化」を持ち出し、国民多数が望む禁止条約への参加を拒否していることは、恥ずべき態度であり、内外で失望を広げている。「核抑止」という考えは、いざとなれば広島・長崎のような「破滅的な人道的結果」を容認するものであり、とうてい許されるものではない。
唯一の戦争被爆国である日本が条約に参加すれば、「核兵器のない世界」の実現に向け大きな前向きの変化をつくることは疑いない。日本共産党は、条約に署名・批准する新しい政権をつくるため、全力をつくす。